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第十一話 お見合い結婚

お見合い結婚って知っているだろうか?
まず、釣書(つりがき)を書く。自己紹介、家族紹介みたいなものだ。それと写真を一緒に入れて、相手に渡し合う。会ってみたいと思ったら、仲人(なこうど)を通じて親同伴で会う。ホテルのロビー、喫茶店の個室などで紹介され、しばらくしたら若い二人だけで話をする。その後、気に入ればまた会うし、ダメならそれまでだ。そして、3回くらい会えば結婚を前提に付き合うか、どうか決めるのである。知り合ってから結婚まで非常にスピーディーである。NHKの朝ドラの「ゲゲゲの女房」の水木夫妻は見合いから結婚式までわずか5日である。昔は釣書だけもらって、結婚式の日に初めて会ったというのもある。
なぜ、こんなに早いのかと言うと、釣書で相手がどんな家族かだいたい分かっているし、仲人がいい加減な人を紹介するはずがないし、お見合い自体が結婚を前提としているからだ。昔の人は、結婚してから二人力を合わせて本当の夫婦になればいいと考えていたからであろう。
実はこんな私もお見合い結婚である。十七回目でやっと結婚したのである。二十六歳の頃から父親に言われるまま、お見合いをし続けた。最初の二回はびっくりするほどの美人が来た。女優の中村あずさ、シンクロの小谷実可子、お見合い万歳だった。
しかし、そんな喜びもすぐに現実に返った。恋愛もしたことのない男がこんな美人と結婚できるはずがないのである。でも、懲りずに見合いをし続ける。釣書も5枚以上書いていろんな人にお願いしていた。時には二週続けて見合いすることもあった。

初めの週の相手は、美人ではないが、面白い人で非常に意気投合した。しかし、次の週の相手が写真で見るとアイドル歌手みたいな人だったので、二股をかけてはいけないと思い、初めの人を断ってアイドルと次の週に会った。話が弾まない。すぐにダメだと思った。なんで初めの人を断ったんだろうと後悔した。それから、私のお見合い人生の低迷が続くことになる。恋愛とは違うがお見合いもふられたら心は傷つく。ふられた日には部屋に閉じこもり、布団をかぶって大泣きをする。そんな日の繰り返しだった。ふられ続けると、もう誰でもいいやという感覚になった。そういう気持ちを相手に言うと、じゃあ私じゃなくてもいいのねとふられた。女心は難しい。
そうしているうち、十七回目、今の妻と出会うのである。今思えばよく頑張ったなあと思う。結婚できた要因は、親父が男は三十才までに結婚しないとダメだ、三十過ぎたら親の言うことを聞かなくなると口酸っぱく言ってくれたことに素直に従った、その素直さ。あなたに幸せになって欲しいと懲りずに紹介し続けてくれた地域、周囲の皆さんの愛情。自分の理想、考えを持つことは大切だが、経験豊富な親や目上の人の意見も素直に受け入れる心を持って欲しいと最後に言いたい。


 


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